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シニア起業のリアル [生活]

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講習会.png
一般社団法人が行う講習会風景


パソコン教室.png
シニア向けパソコン教室





定年後、あるいは定年を迎えて老後の収入を得ようとする
「シニア企業」の最大の悩みは、

「どうやって事業を立ち上げるか」だ。今回は一般社団法人や
NPO法人などの「非営利組織」による起業を紹介する。

社会に役立つ「生きがい」に軸足を起きながら
「年金プラスαの収入」を得る方法として一考の価値がある。

「非営利」は「無報酬」ではない


起業した人々の体験談に入る前に、
一般社団法人とNPO法人=非営利組織について説明する。

「非営利」という名前から勘違いされやすいが
「無報酬のボランティア」ではない。

営利と非営利の違いは、事業で得た収益を株主配当
のように構成員に分配できるか否かだ。

非営利の場合、余剰収益の分配はできず、今後の事業
のために充てなければならない。

ただっ収益をあげてはいけないわけではないし、
役員報酬などの形で収入を得ることもできる。

一般社団法人とは「一般社団法人及び一般財団法人に
関する法律」に基づいて設立された「営利を目的としない活動」

をするために”社員”が集まった非営利組織を指す。

現在、社団法人は公益性を認められた「公益社団法人」と、
公益性を問わずに事業を行う「一般社団法人」に

分けられている。

「従来は一括りに社団法人と呼ばれ、公益性重視で
規制が多かったのですが、08年の法改正で生まれた

一般社団法人は、公益性の有無にかかわらず
設立できるので、最近では人気の高い起業スタイルです。

一般社団法人は営利を目的としない人を集めて
会員組織を作りたいケースに向いています。


例えば書道を教えている人が一般社団法人を設立して
会員組織を作り、講座を開いて一定レベルに

到達した人に認定証や検定賞を発行するような
ビジネスモデルが一般的です」
(シニアの企業支援を行う「銀座セカンドライフ」
代表の片桐実央氏)


東京・渋谷で、食事を通じてアスリートやスポーツを楽しむ
人々をサポートする「食インストラクター」

を育成する「食アスリート協会」を13年に
設立した神藤啓司氏(51)も一般社団法人による

起業を選んだ。

現在は同協会の代表理事を務めている。

神藤氏は文星芸大附属高(栃木)のエースとして
夏の甲子園に出場してベスト16入り。

東洋大、社会人の富士重工野球部でも活躍した
元アスリートだ。

プロ入りの夢は果たせずに25歳で競技から退き、
その後は富士重工で勤務を続けたが、

05年に42歳で退職。その2年後にアスリートの
引退後のセカンドキャリア支援に力を入れる

経営コンサルタント会社「サン・アスリート株式会社」
で起業の道を歩み始めた。

一般社団法人での起業はその頃から視野にあった。
「当時から『食育』に関心がありました。

欧米と比べて日本のスポーツ界は栄養面の研究と
サポートが遅れていると感じていました。

アスリートの食事指導は管理栄養士が行うケースが
多いが、カロリーや栄養バランスだけが

重視されすぎていた。

食べることへの意識づけや食事がどう体に影響を
与えるのか指導できる専門家を育てようと思いついたのです。
(神藤氏)


「食アスリート協会」の事業の中心は講座の開催だ。
例えば初期コースの「食アスリートジュニアインストラクター
養成講座」(6日で計16万円)では90分6コマの基礎教科や

指導プログラムを教え、
筆記、実技の検定試験も実施する。

合格した受講者は、今度は自ら講師として
セミナーを開催することが可能になる。

14年にスタートした食インストラクターの
養成講座は約50人が受講し、協会から

指導者認定を受け、地域で口座を開くなど
活動の輪は広がっている。

神藤氏によれば、14年の講座の売上は約800万円。
支出として会議室代(1回の相場が約10万円)

講師代の人件費、テキストや資料などのコンテンツ代
などがかかり、「儲けはそれほどは出ない」と語る。

それでも神藤氏が一般社団法人による起業を選んだのは

「スポーツと食事による社会貢献」を
重視したからだという。

「純粋に利益を求めるなら株式会社にしたほうがいい。」
儲けを配当として自分で受け取ることもできますから。


しかしそれでは常に収益が目的になってしまう。
インストラクター養成や講座を増やすときにも

企業スポンサーが必要となり、最終的にはスポンサーの
顔色を窺った事業内容に陥ることが目に見えています。

それが嫌だったので一般社団法人を選びました。(神藤氏)



(前半)--------------------------------------------------------↑↑




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(後半)---------------------------------------------------------↓↓



設立の手軽さも魅力だった。
一般社団法人として協会を設立するのに
かかった費用は、社団の登記費用の約15万円だけ。

事務所は本業の経営コンサルタント会社のものを
使用しているので、家賃もかからない。


前出・片桐氏が解説する。
「一般社団法人は1ヶ月ほどで設立できます。

人数も2人以上いれば設立可能。

営利法人と比べて会社設立の諸経費の負担が少ないのも
メリットです。

それでいて「社会的信用」を得やすい。
「認定ビジネスは、商売目的と見られがちな

会社組織で行なうよりも、一般社団法人に
した方が世間一般の認識としては信用度が高くなります」


認定ビジネスの課題は講師などの人材確保だ。
神藤氏が語る。

「最初は費用の工面よりも人脈作りが大切ですね。
講師がいないと話にならない。

私は栄養面を指導できる管理栄養士や、スポーツに必要な
食事に精通する適任者を講師に見つけることができたので

比較的スムーズにスタートできたと思います」


『地域密着ならNPO法人』


非営利組織での起業には「NPO法人」
という選択肢もある。

NPO法人は子供の健全育成、災害救助、地域安全など
20分野の活動に制限され、活動内容も

「公益の増進に寄与するもの」に限られる。

また地域に密着した事業であるケースが多い。
それだけに民間企業や一般社団法人と比べると

行政と連携しやすく、助成制度などを活用しやすい、
自治体の施設を格安で利用できるなどのメリットも

享受できる。

前出・片桐氏の話。

「一般社団法人と違い、NPO法人を設立する費用はゼロです。

ただし設立には10人以上の参加が必要で、役員報酬を
受け取れるのは役員総数の3分の1以下など組織運営に

制限がある。

一方で、一般社団法人と比べて
特定の地域密着型の社会貢献度が高いために、

助成制度や税制上の優遇処置など支援を打ち出している
自治体も少なくありません。

地域のニーズとやりたい事業がマッチするなら
同じ目的を持つ仲間や地域での居場所づくりを兼ねつつ

収入を得る方法として、NPO法人での起業が向いています」

NPO法人「シニアSOHO世田谷」の代表理事、山根明氏(80)は
東京世田谷区で高齢者向けのパソコン教室事業などを行っている。

建設会社の営業職や顧問を経て00年に65歳で退職。
退職前から老後の生きがい作りとして

パソコン教室2.jpg

パソコンスクールに通ったことがその後の起業の契機
となった。02年、シニア向けのパソコン指導を

行なうNPO法人に参加、そこでシニアのパソコン講師の資格制度や
育成事業に関わった。

こうした事業はすべて参加費用を収益とする事業だ。

「ボランティアと思わげがちですが、収益を上げないとダメ。
お金を貰う責任を伴わなければ長続きしないんです」(山根氏)

パソコン講師育成では、その教室に講師を派遣する
コーディネーター料として山根氏は5万~6万円
を受け取る。

教室などへの移動にかかる交通費を差し引いた
金額が山根氏の年金プラスαだった。

ところがシニア層のパソコンスキルが上がるにつれて
講師ビジネスの売上は減っていった。

そこで現在はNPO法人が受けることができる、
国や民間企業が資金を提供する返済不要の

助成制度を利用した、新たな展開に取り組んでいる。

昨年、山根氏が厚労省の

独立行政法人福祉医療機構が助成する助成支援事業に
応募して採用されたのが

「高齢者の認知症予防のためのipad教室」だった。

「機構から約378万円の助成金を得たことで
資金繰りに頭を痛めることなく、
事業に集中できるようになりました。(山根氏)

これまでのパソコン教室では、参加者を募るために
安く設定した参加費500円で10人参加した場合、

売上は5000円。そこから講師代や会議室代を
差し引けば赤字になることが多かった。

しかし制度を活用したおかげで、助成金で
ipadを30台(計160万円)購入でき、

講師代は助成制度で定められた7000円を支給。

受講者の参加費は無料でテキスト代1500円のみ。
法人の事業収益は助成金の5%ほどになった。

今後はその収益を元に、NPO法人による
高齢者同士のipadの学習グループ作りを

行う考えだ。
そうした活動が軌道に乗れば自らの収入も得られる。

山根氏が語る。

「NPO法人の場合、自分がやりたいことに固執すると
失敗する。

当初のパソコン教室に固執していたら今頃は完全に
行き詰まっていたでしょうね。

今後は若者人口が増えて子育て世代の多い、
世田谷区の地域特性に合った事業にも取り組む必要を
感じています」

生きがいと収入の両立を目指した起業にはいくつもの方法がある。
自分のやりたいことは何か、

自分の得たい収入はどれくらいなのか、
総合的に検討して最適な方法を選ぶことが

「シニア起業」を成功させるカギなのだ。


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